バックアップの最適な頻度と範囲を専門家が徹底解説

バックアップが必要な理由と起こり得るリスクとは?
業務におけるデジタル化が進む現代では、データの価値がますます高まっています。顧客管理システム、ECサイト、ブログ、Web予約、POSレジデータなど、日々の業務に関わる情報はすべて「失ってはならない資産」です。
しかし、パソコンの故障やウイルス感染、人的ミス、クラッキング(不正アクセス)、サーバートラブル、自然災害など、データを失うリスクは常に存在しています。特に中小企業やローカル店舗では、これらのトラブルに対する備えが十分でないケースが多く、ひとたびデータ消失が起こると業務が完全に停止する恐れもあります。
「大事な顧客情報が消えた」「サイトが真っ白になって復元できない」「バックアップを取っていたつもりが設定ミスだった」――。こうした悲劇を防ぐ唯一の方法が、正しく設定されたバックアップです。
バックアップの頻度はどれくらいが適切?目的別に解説
バックアップ頻度の最適解は、「データの変化頻度 × 復旧にかけられる余裕時間」によって変わります。以下は目的別・業種別の推奨頻度です。
● ECサイト・予約サイト:毎日〜1日数回
商品情報、在庫、注文履歴、顧客データなどが常に動いているため、リアルタイム性が重要です。1日1回では不十分なこともあり、自動化されたバックアップスケジューラーの利用が必須です。
● 企業ホームページ・士業・建築業:週1〜3回
更新頻度が中程度で、顧客対応窓口として利用されている場合。アクセスログや問い合わせデータの保全が重要です。
● 飲食店・美容室などのローカル店舗:週1回〜月1回
内容の更新が少ない場合は、月1回でも可。ただし、店舗からのお知らせやメニュー更新などを頻繁に行う場合は、週1回以上を推奨します。
● 公共施設・イベント用サイト:更新直後の都度バックアップ
更新頻度は少なくても、情報の正確性と信頼性が重要な場合、更新作業のたびに手動バックアップを取る運用も有効です。
● ブログやオウンドメディア:毎日 or 投稿直後
SEO目的で運用するブログは、Googleインデックスとの同期性が高く、記事投稿後すぐにバックアップを取得しておくと安心です。
バックアップの「範囲」設定で失敗しないための基本
バックアップの「範囲」は、想定されるトラブルの種類によって設定すべき内容が異なります。以下の3層に分けて考えると失敗しにくくなります。
- ① Webサイトのファイル群:HTML、CSS、画像、JavaScript、テーマ、プラグイン
- ② データベース(DB):投稿記事、設定、コメント、カスタム投稿、ユーザー情報など
- ③ サーバー側の設定情報:ドメイン設定、メール、SSL証明書、cron設定など
特にWordPressでは、データベースのみをバックアップしても、画像ファイルが含まれていないため完全復元できないケースが多々あります。逆にファイルのみのバックアップでは、記事コンテンツが失われます。必ず「ファイル+DB」の両方を対象にしましょう。
おすすめバックアップ方法と、設定のコツ
実際に運用担当者が導入しやすいバックアップ手段を、以下に整理しました。
【A. WordPressプラグインによる自動バックアップ】
- UpdraftPlus:無料プランでもスケジュール設定・外部ストレージ連携が可能
- BackWPup:ZIP圧縮で保存、DBのバックアップも手軽
- All-in-One WP Migration:復元も簡単で、初心者向け
【B. サーバー標準機能を活用】
- ConoHa WING:過去14日間の自動バックアップ+ワンクリック復元
- Xserver:FTP・DBともに自動で世代保存
【C. クラウドストレージへの保存】
- Google Drive、Dropbox、Amazon S3 などと連携
- 自動化と定期的な保存容量チェックを忘れずに
ポイントは、必ず「外部保存」を加えること。サーバー内にしか保存していないと、サーバー障害やランサムウェア攻撃で一括消失する危険があります。
バックアップを「自動化+多重化」するべき理由
バックアップは「仕組み化」しなければ続きません。理想は以下のような構成です。
- 毎日AM3:00に自動バックアップ実行
- 保存先①:ローカルサーバー内(7日分ローテーション)
- 保存先②:Google Driveに自動送信(30日分保持)
- 保存先③:月1回、外部HDDまたはNASに手動保存
このように複数の場所に分散保存しておくことで、1箇所がダウンしても他から復元できるリスク分散が可能になります。
よくある設定ミス・トラブル事例と改善策
【事例①】データベースだけをバックアップしていた
→ 復旧時に画像が一切表示されず、サイトが崩壊。
対策:必ず「DB+ファイル」の両方を含むようにプラグイン設定を見直しましょう。
【事例②】バックアップ先が同一サーバー内だった
→ サーバー障害で元データもバックアップも全損。
対策:外部クラウドかUSB・NASなどへ複製を。
【事例③】バックアップ設定はあるが復元手順が不明
→ 緊急時に誰も復元できず、Web業者に頼って復旧に3日以上かかった。
対策:「復元手順書」のPDFを準備し、担当者間で共有しておきましょう。
バックアップ運用を「仕組み」として社内に根付かせる
バックアップは「設定したら終わり」ではなく、「定期点検」が不可欠です。最低でも月1回は、以下の項目をチェックしましょう。
- 最新のバックアップファイルが正しく保存されているか
- 保存先の容量に余裕があるか
- 復元テストが正しく動作するか(※テスト環境推奨)
- バックアップ設定変更があった場合の社内報告
また、担当者が退職・異動した際には必ず引継ぎと手順書の確認を行いましょう。「知ってる人しか分からない」は大きなリスクです。
まとめ:あなたに最適な「バックアップの形」を設計しよう
バックアップは単なる「データ保存」ではなく、企業とブランド、顧客との信頼関係を守る「保険」です。特にローカルで運営する中小企業や店舗では、データロスが命取りになりかねません。
ぜひこの機会に、「頻度」「範囲」「保存先」を見直し、バックアップ体制の見える化と自動化に取り組んでみてください。
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