インタビュー動画の音声を劇的に改善するマイクの使い方

なぜ「音声トラブル」は動画の致命傷になるのか
映像がどれほど美しくても、音声が不明瞭であれば視聴者はすぐに離脱してしまいます。特にインタビュー動画は、話し手の声がメインコンテンツです。雑音や声のこもりがあると「この会社は雑だな」と信頼感を損ねることになりかねません。動画の印象を左右するのは映像美よりも「聞き取りやすさ」だと言っても過言ではありません。
また、撮影後に「音が割れている」「声が小さすぎる」と気づいた場合、編集で直すことはほぼ不可能です。結局再撮影になり、出演者・撮影スタッフの時間を再度確保することになり、コストも倍増してしまいます。初めて動画インタビューを企画する企業担当者にとっては、これは大きなリスクです。だからこそ、事前の「音対策」が最重要課題になります。
マイクの選び方:インタビュー撮影に最適な3タイプ
インタビュー動画で多く使用されるマイクは主に3種類あり、それぞれの特徴を理解することで、失敗を大きく減らすことができます。
- ガンマイク:カメラの上やブームに取り付けて使用。狙った方向の音だけを拾う性質があり、1対1のインタビューに最適。ただし周囲の環境音が強い場合は限界もあります。
- ピンマイク(ラベリアマイク):胸元に装着する小型マイク。ワイヤレス型が主流で、見た目も目立ちにくく、動いても一定の音質を保ちやすい。初心者でも安定した収録が可能。
- ハンドマイク:聞き手が持つタイプ。会見や街頭インタビューで使われやすく、切り替えがスムーズ。ただし見た目がフォーマルすぎる印象になることも。
初めての企業インタビュー撮影では「ワイヤレスピンマイク」がおすすめです。小型で取り回しやすく、服にクリップで装着するだけで安定した録音が可能。カメラとの距離があっても問題がないため、映像の自由度が高まります。
セッティングの基本:良い音は「環境」から作る
高性能なマイクを用意しても、設置や環境が悪ければ音は台無しになります。セッティング段階で気をつけるべき基本ポイントを紹介します。
- マイクと口の距離:ピンマイクなら胸元約15cm、ガンマイクなら50cm前後が理想。近すぎると息が入り、遠すぎると声が小さくなります。
- ノイズの排除:エアコンの風、街の雑音、紙をめくる音などが入ると致命的。事前に現場で音環境を確認し、できるだけ静かな場所を選びましょう。
- ケーブルノイズ防止:ピンマイクのケーブルが衣服と擦れると「ガサガサ音」が発生します。裏地に沿わせるなど工夫して固定することが必要です。
- 複数人インタビュー時の工夫:参加者全員にピンマイクを用意するのが理想ですが、難しい場合はガンマイクを併用し、全員の声が拾えるように配置を工夫しましょう。
撮影前には必ずテスト録音を行い、イヤホンで確認する習慣を持ちましょう。収録前にわずか1分でもテストするだけで、本番の失敗を大きく減らせます。
音声チェックで確認すべき4つのポイント
本番前の音声チェックでは、以下の4つを意識すると失敗を防げます。
- 声量:話者の声が小さくても十分に聞き取れるか
- ノイズ:エアコンや外の音が目立っていないか
- 音割れ:声が大きすぎて歪んでいないか
- 衣服ノイズ:マイクが服や髪に触れて雑音を出していないか
このチェックは撮影者だけでなく、出演者にも実際に聞いてもらうと安心です。「自分の声がどう聞こえるか」を理解してもらうことで、本番でも安定した声量で話してもらえます。
「編集では直せない」音の失敗事例
編集ソフトを使えば多少のノイズ除去や音量調整は可能ですが、根本的に修正できないケースも多々あります。例えば以下のような失敗は致命的です。
- 声が小さすぎて上げるとノイズが増幅してしまう
- 音割れしているため言葉が聞き取れない
- 話者の声が環境音に埋もれている
- 複数人の声が重なり、どちらも不明瞭になっている
こうした失敗は、どれだけ編集技術が優れていても改善が難しいため、事前のチェックで防ぐしかありません。撮影現場での「音声確認」こそ最大のリスク回避です。
おすすめマイクとセットアップ例
ここでは、エリアドライブが実際に導入しているおすすめのマイク機材を紹介します。
- Rode Wireless GO II:軽量でワイヤレス。2人分の音声を同時収録可能で、インタビューに最適。
- ZOOM F2-BT:小型レコーダーで高音質。バックアップ録音に便利で、Bluetoothで確認も可能。
- Sennheiser MKE600:ガンマイクの定番。シンプルな構造でノイズに強く、現場で信頼性が高い。
実際のセットアップ例としては、被写体にワイヤレスピンマイクを装着し、カメラにバックアップとしてガンマイクを設置。さらにレコーダーで別録りを行い、三重の体制で音を確保する方法もあります。これにより「音が取れていなかった」という最悪のリスクを避けられます。
現場でよくあるトラブルとその解決策
インタビュー現場では予期しないトラブルが起こります。代表的な事例と対処法を紹介します。
- 電池切れ:ワイヤレスマイクの電池が切れて無音に。→予備電池を必ず用意する。
- 電波干渉:同じ周波数を使うとノイズが発生。→周波数を変更できる機材を選ぶ。
- 服との擦れ:話者が動くたびにガサガサ音。→マイクをテープで固定する。
- 声がこもる:マスクやネクタイで音が遮られる。→マイクの位置を変えてクリアにする。
これらはすべて「事前の準備」で防げる問題です。現場対応だけでなく、リハーサルで再現しておくことが重要です。
まとめ:音の設計がインタビュー動画の“成否”を分ける
インタビュー動画において、音声は命です。映像が多少暗くても、音がクリアなら視聴者は最後まで見てくれます。しかし逆に、音が悪ければ離脱は避けられません。音声は「視聴体験の質」を決定づける要素です。
マイクの種類選び、セッティング、テスト録音、そして複数のバックアップ体制——これらを徹底することで、インタビュー動画の品質は劇的に向上します。
エリアドライブでは、企業の動画撮影における音声設計・マイク選定・現場対応までトータルでサポートしています。初めてのインタビュー動画でも安心してご依頼ください。成果につながる動画制作を、一緒に実現しましょう。