独自CMSへ機能追加する際の注意点と手順

独自CMSに機能を追加する前に確認すべきポイント
独自CMS(コンテンツ管理システム)を導入している企業にとって、業務ニーズに合わせた機能追加は避けて通れない課題です。しかし、拡張にあたっては「便利にしたつもりが運用に支障をきたした」「セキュリティホールを生んでしまった」などのリスクが潜んでいます。
そこでまず重要なのは、以下の3つの視点です。
- 既存システムとの整合性:新機能が現行機能やDB構造と競合しないか
- セキュリティ:外部からの入力が増える場合、バリデーションやサニタイズの設計は万全か
- 将来の保守性:スパゲッティコードにならず、再利用性や修正容易性を保てるか
この3点を疎かにすると、追加した機能のせいで「既存ページが表示されない」「管理画面が重くなる」など予期せぬトラブルにつながりかねません。
機能追加を検討する際のロードマップ
CMSの機能拡張を安全・効率的に行うには、事前に以下のロードマップを設計することが推奨されます。
- ニーズの明確化:ユーザー側(例:編集担当者)・閲覧者側(エンドユーザー)それぞれの視点で機能要件を洗い出す
- 要件定義:機能の動作条件・権限レベル・入力項目・表示仕様などを文書化
- ワイヤーフレーム設計:UIの変化を事前に確認し、導線や操作感の整合性を取る
- バックエンド設計:DB設計、モデル設計、MVC構造への影響などを整理
- 開発・テスト:ステージング環境での動作確認を徹底し、既存機能との相互テストを実施
- リリースとドキュメント整備:機能追加後の使い方マニュアル、運用ルールを社内展開
これらを抜け漏れなく行うことで、開発・実装フェーズでの手戻りを減らすことができます。
開発時に特に注意すべき技術的ポイント
独自CMSに機能を追加する際に起きやすい不具合やセキュリティ事故の例を、以下にまとめます。
- XSS(クロスサイトスクリプティング):フォームやコメント機能の追加時に、入力値をそのままHTML出力するとスクリプトが実行されるリスク
- CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ):管理者権限を持つ画面に対し、トークン制御が未実装の場合、意図しない操作が実行される
- SQLインジェクション:DB操作を伴う新機能では、直接SQLを発行している場合に不正操作を受ける可能性
- ファイルアップロードの取り扱い:画像・PDFなどのアップロード機能は、拡張子チェックやサイズ制限、保存パスの制御を厳格に
これらは一般的なセキュリティ対策の基礎ではありますが、追加機能の開発時に軽視されがちです。既存CMSの安全設計を損なわないよう注意が必要です。
運用フェーズで気をつけたいこと
機能を追加した後の運用面でも、いくつかの課題が発生しやすいため、事前に対策を講じておくことが重要です。
①利用者教育の不足
新機能が追加されても、社内スタッフが使いこなせなければ意味がありません。FAQや動画マニュアルなども併せて準備しましょう。
②更新履歴の記録
どのタイミングで、誰がどんな内容の編集・追加を行ったかが追えるログ設計も大切です。トラブル時の初動調査を迅速にします。
③サーバー負荷の変化
検索機能や一括処理機能などは、思わぬサーバー負荷を発生させる場合があります。レスポンス遅延を検知するログを仕込みましょう。
CMS機能追加の成功事例と教訓
実際に機能追加で成果を上げた企業の事例と、そこから得られた教訓をご紹介します。
事例①:予約機能を追加して問い合わせ激減
ある医療系企業では、独自CMSに予約カレンダー機能を追加。これにより電話対応業務を週8時間削減でき、予約ミスも減少しました。
ただし最初はUIが複雑すぎて、ユーザーから「分かりにくい」と不満がありました。UI改善と共にマニュアル強化を図り、結果として高評価へ。
事例②:更新の自動化で人的ミスを削減
ECサイト運営企業では、CMSに「自動タグ更新機能」を追加。担当者が商品登録時に自動的にタグが紐づく仕様を実装し、ミスが大幅に減りました。
教訓としては、仕様変更時のテストケースを想定以上に用意しておくべきという点が挙げられます。
まとめ:CMS拡張は戦略的に、安全に
独自CMSに機能追加することは、業務効率化やUX改善に直結する大きな施策ですが、開発前後の設計・実装・運用におけるリスクも同時に伴います。
今回紹介したように、事前の要件整理やセキュリティ設計、運用時の社内展開までを一貫して考えることが「機能拡張を成功させる」鍵となります。
もし、開発パートナーや外部ベンダーとのやりとりが不安な場合は、CMS開発に強い制作会社へ相談してみるのも一つの手です。
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