WordPressの更新・バージョンアップ放置でHP崩壊?中小企業が知るべきリスクとは

そもそもWordPressの「更新」って何のこと?
日本全国で驚くほど多くの中小企業が、WordPressの更新作業を「よく分からない」「面倒そう」といった理由で放置しています。しかし、それは将来的なリスクを内包している状態といえます。
WordPressの「更新」とは、主に以下の3種類を指します。
- コア(WordPress本体)
- テーマ(デザインテンプレート)
- プラグイン(拡張機能)
これらは日々改善されており、セキュリティ強化や不具合修正、新機能追加のために定期的なバージョンアップが行われます。たとえば、古いままのテーマを使い続けると、最新のWordPress本体との互換性がなくなり、表示崩れを起こすこともあります。
更新は「見えない部分の修理・補強」のようなもの。建物に例えれば、耐震補強や老朽化した配管の修理と同じく、地味ですが非常に重要です。
更新を放置したときに起きる主なトラブルとは?
ここでは、放置によって起こり得る具体的なトラブルを紹介します。企業の信頼や売上、顧客情報までもが一瞬で失われるリスクを孕んでいることを、改めて理解する必要があります。
サイトの表示崩れやエラー発生
更新しないことで、テーマやプラグインが新しいWordPressの仕様に合わなくなり、サイト全体のデザインや機能が正常に動作しなくなる可能性があります。
「トップページが表示されない」「問い合わせフォームが送れない」といったエラーは、古いプラグインが原因であることがよくあります。
ウイルス感染・乗っ取りなどのセキュリティ被害
もっと深刻なのはセキュリティ面のリスクです。WordPressは世界中で利用されているため、脆弱性を狙った攻撃が常に発生しています。
過去には、脆弱性を放置していたことで不正アクセスされ、サイトが改ざんされたケースや、知らぬ間にスパムサイトにリダイレクトされるようになった例もあります。
🔗 実際の被害報告例:
Google検索順位の低下やインデックス障害
表示エラーやマルウェア感染は、Googleのインデックスにも悪影響を与えます。最悪の場合、検索結果から除外されたり、警告マークが表示されたりします。
結果として集客が止まり、ビジネスに直接的な損失をもたらします。
「うちは大丈夫」と油断して放置しがちな3つの誤解
「アクセス数が少ないから狙われない」は本当?
実際は、無差別スキャンによる攻撃が主流です。個別の人気サイトを狙うというよりも、脆弱なWordPressサイトを機械的に探し出して攻撃する手口が多いため、アクセス数に関係なくリスクがあります。
「制作会社に任せてるから大丈夫」は要注意
納品後の保守・管理が契約に含まれていないケースも多く、更新作業は自社の責任になることがあります。契約内容をしっかり確認する必要があります。
「自動更新だから問題ない」は正しいか?
WordPressには自動更新機能がありますが、すべての更新に対応しているわけではありません。また、更新による不具合を確認する仕組みがないため、予期せぬトラブルが発生しても気づかないことも。
WordPress更新で本当に起きる“崩壊”事例
以下は、実際に中小企業や店舗で起きたWordPress更新放置による被害例です。SEO的な被害や、第三者からの指摘で気づくケースも含まれます。
以下は、実際に中小企業や店舗で起きたWordPress更新放置による被害例です。
実際にあった表示崩れ&管理画面が真っ白に
某飲食店の公式サイトでは、3年間更新を放置していたところ、ある日突然トップページが「白紙」に。プラグインが本体と互換性を失ったのが原因でした。
旧バージョンの脆弱性が突かれ、スパム改ざんされた例
とある工務店では、古いWordPressを放置していたために海外からのボット攻撃を受け、勝手にアダルトサイトへリダイレクトされるように改ざんされました。結果、問い合わせが激減し、信頼回復に数ヶ月を要しました。
プラグインの脆弱性が原因で顧客データが漏洩
ECサイトを運営していた中小企業では、更新されていないフォームプラグインの脆弱性を突かれ、顧客のメールアドレスや電話番号が漏洩。企業の信用が失墜し、対応に追われました。
管理画面への侵入により、コンテンツ全消去
クリニックのWebサイトでは、放置されたWordPressの旧バージョンから管理画面に侵入され、すべてのページが削除されるという被害が発生。復旧には2週間以上かかり、Googleの検索順位も大幅に低下しました。
Google広告の強制停止処分
美容業のホームページでは、マルウェア感染により外部サイトへ自動遷移が仕込まれた結果、Google広告アカウントが停止処分に。復旧後も広告再開には時間を要し、集客に大きな支障が出ました。
SEOハックで順位が急落、リンクスパム被害も
ある士業サイトでは、放置されていたWordPressの脆弱性を突かれ、外部から悪質なSEOリンク(隠しリンク・アフィリエイトスクリプト)が多数埋め込まれていました。Googleのアルゴリズムがスパム行為と認識し、検索順位が大幅に低下。発見が遅れたため回復に半年以上を要しました。
県警のネットパトロールでの指摘事例
県警や自治体のサイバーパトロール(ネット監視活動)によって、マルウェア感染や不正改ざんされた企業サイトが指摘されるケースもあります。企業側はまったく気づいておらず、第三者からの連絡で初めて事態を把握するという例も少なくありません。
このような指摘は、県警の公式窓口や通報経由で行われることが多く、発覚後は即座に修正や対策を迫られます。自己診断だけでなく、定期的な専門チェックや保守契約の重要性が高まっています。
🔗 関連事例リンク:
じゃあ、どうすれば?安全に更新するための3つの対策
バックアップをとってから更新する
更新による不具合に備えるには、まずバックアップが必須です。データベースとファイルを丸ごと保存しておくことで、万が一の際にすぐ元に戻せます。
検証環境(ステージング)で事前テストを行う
本番サイトとは別のテスト環境で更新を試すことで、安全性を事前に確認できます。とくにプラグインが多いサイトでは効果的です。
更新作業は保守専門業者に任せるのも手
更新によるリスクを最小限に抑えるには、WordPressに詳しい専門業者に任せるのが安心です。月額数千円〜のプランでも、定期更新・バックアップ・復元対応をしてくれるところもあります。
中小企業におすすめの保守・運用体制とは?
制作会社としての警鐘
事実、私たちエリアドライブにも年に数件は「WordPressが改ざんされた」「突然サイトが表示されなくなった」などの被害相談が寄せられています。こうしたケースの多くが、更新やバックアップを一切しておらず、完全な“無防備状態”だったという共通点があります。
依頼のたびに、「なぜもっと早く対処してくれなかったのか」と悔やむお客様の声を耳にします。また、実際に復旧には数日から数週間の時間がかかるうえ、状況によっては数十万円を超える費用が発生することも珍しくありません。そして多くの企業が、被害に遭ってからようやく「更新の重要性」に気づくのが現実です。
私たち制作者の立場から見ると、更新放置による被害は潜在的に多くのサイトが影響を受けており、私たちが対応する中でも実際に事例が確認されています。修復対応のご相談をいただくたびに「もっと早く気づいていれば良かった」というお声をいただくこともあります。
更新とは、運用の基本であり最低限のセキュリティ措置です。納品後も安心して事業に集中していただくためには、企業側がこの認識を共有し、継続的な管理体制を整えることが必要です。
社内対応の限界と、外部委託のメリット
兼務が多い中小企業のWEB担当者では、常に技術トレンドを追い、トラブルに即対応するのは現実的に困難です。更新対応を外注することで、本業に集中できる環境が整います。
費用対効果で見る「保守サポート」の価値
「月額1万円以下」でサイトが安全に維持できるなら、1回の改ざん被害や機会損失を防ぐ保険としては十分に元が取れます。実際、トラブル発生後の復旧費用は数万円〜数十万円かかることも。
まとめ|更新は「やるべき作業」ではなく「守るべき備え」
企業のWebサイトは、単なる名刺ではありません。情報発信の拠点であり、信用と顧客接点を支える生命線です。
その管理を怠ることで、思わぬ脆弱性を抱えた状態になってしまうことがあります。今一度、「自社のデジタル資産をどう守るか」を経営課題のひとつとして見直してみてください。
WordPressの更新を「面倒な作業」として放置してしまうと、思わぬトラブルを招きます。特に中小企業にとっては、Webサイトが信用の入り口となる時代。セキュリティリスクや表示崩れによって信頼を損なう前に、日々のメンテナンスを「備え」として取り組むことが重要です。
更新=予防保全。守りの一手が、企業の信頼と集客を支えます。
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